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今日は 2021年10月28日です。
◆触れられたくない問題(2)
昨日、メルマガ読者の方から、「最近男湯に女性従業員が入ってくることへのクレームが増えていて…」というメッセージをいただきました。
以前からこの男湯問題はくすぶり続けていているのですが、世の中の流れ的には敏感に反応する人が増え、だんだん厳しい方向へ向かっているようです。
メルマガ第661号「触れられたくない問題」( 2018年4月25日執筆)で、この件について取り上げました。
── 一般的に男性従業員はよほどの緊急事態でもない限り、営業中の女性浴室に立ち入ることはありませんが、女性従業員は営業中の男性浴室でも普通に巡回する、というオペレーションになっている温浴施設はかなり多いと思います。
元々日本は男女混浴が普通というおおらかな文化でしたし、公衆浴場において女性従業員が男性浴室に出入りすることは古くからの慣例となっているので、今までそのことが大きな問題にはならなかったのです。しかし厳密に言うと男女の仕事を差別していますし、女性従業員に裸を見られることに抵抗を感じている男性のお客さまや、逆にわざと見せたがる困ったお客さまもいたりして、ずっとこの問題はくすぶり続けているのです。
男女混浴の浴場が原則として新たに作れなくなり、銭湯の番台も男女脱衣室を見渡せる構造にしているところはどんどん減っています。この流れからすると、いずれ浴室巡回業務は男女エリアを男女それぞれの従業員にさせるべき、という考え方が強くなってくる可能性が高いのではないかと想像しています。
そうなると、営業時間中の浴室巡回業務は男女それぞれの従業員が担当することになりますが、小規模な温浴施設では男女それぞれを浴室巡回専任にできるほどの仕事量になりませんし、シフト編成も難しくなるでしょう。──
この流れは、いずれアカスリやボディケアスタッフの性別にも話が及ぶかも知れません。
男性客には男性スタッフ、女性客には女性スタッフという線引きが厳しくなれば、経営的にはいろいろな面でどうしても負担増大に向かう話になるので、できるだけ避けて通りたいところですが、クレームが増えているとなるといつまでも放置してもおけません。
文句を言われるスタッフにとってもストレスでしょう。
これからは多様性に対してどれだけ個別対応できるかが重要になってくるということは常々申し上げておりますが、千差万別な個人の考えにすべて合わせ切ることもできません。
個室化がひとつの答えとは考えていますが、個室だけでは浴室が語らいやコミュニティの場になるという役割が果たせなくなります。低料金で入浴機会を提供することも難しくなります。
人の考え方はそれぞれですから、本来何が正しいと決着をつけるようなことでもないはずなのですが、禁煙分煙問題同様に、女性スタッフは男性浴室に入るべからず、という意見が世の中の大勢を占めるようになれば、従わざるを得なくなるかも知れません。
私がもし現場支配人としてクレーム客に直面したら、おそらくこう言うことになるでしょう。「これは…
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